川口市が面白い!川口未来創造異業種交流政策集団(KFC研究会)

■有山佳伸 「ファイナンシャルプランナーのマネー講座」

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介護・診療報酬の改定でどう変わるのか?
今年の4月に、介護事業者が受け取る「介護報酬」と、医療機関が受け取る「診療報酬」の同時改定が行われます。介護報酬は3年に1回の改定、診療報酬は2年に1回の改定で、同時改定は6年に1回あります。
● 介護報酬は引き上げに
前回2015年の改正では、介護報酬の引き下げが行われましたが、「介護事業所の経営悪化」「介護スタッフの人手不足」等の問題が深刻化したため、今回2018年4月の改定では、全体で+0.54%介護報酬を引き上げる方向となりました。

施設・事業所の収入は増えますが、国の出費や介護保険料負担、利用者の自己負担もあわせて増えることになります。
ただし、全ての介護報酬が引き上げとなるのではなく、介護保険サービスの種類によっては下がるものもあります。


● 診療報酬も引き上げの中で、薬価は引き下げに
診療報酬も今回の改定では、全体で+0.55%引き上げが予定されています。

診療科別に見ていくと、医科では+0.63%、歯科では+0.69%、調剤では+0.19%の引き上げですが、製薬会社などが猛反発したものの、薬価については−1.65%と今回も引き下げになる予定です。
これは、厚生労働省が、薬の公定価格(薬価)が市場での取引価格と比べ上回っているとの調査結果を公表したことが影響しています。薬価については、国の出費と私たち国民の負担も減ることになります。


● 介護サービスの価格はどうなる?
ご存知の通り、介護報酬の改定は介護保険サービス価格の改定でもあります。前述の通り、全ての介護報酬が引き上げとなるのではなく、介護保険サービスの種類によっては下がるものもあります。

例えば、“高齢者に医療ケアやリハビリを積極的に実施しないタイプ”の従来型の介護老人保健施設は報酬が引き下げられ、逆に、“リハビリを積極的に行い、在宅復帰を促す施設”は、報酬が引き上げられる可能性が高いです。
これは、自立支援の取組みを積極的に行うことで、要介護者数を減らし、結果として介護保険の財政を安定させるためです。

利用者にとっては、今までと同じ介護保険サービスでも負担額が変わってきますので、介護護報酬改定は、私たち利用者にも直接影響するのです。


● 介護を受ける前に「介護費用」について見積もろう
60代に入ったら、高齢者施設や介護施設に積極的に足を運び、自分の貯蓄や年金額で入居できる施設を探す努力も必要です。
要介護状態になってからでは目の前の介護を乗り切ることで手一杯になり、評判の良い施設を探すのは難しい現実もあります。

少子高齢化のスピードが速すぎる日本において、介護や医療にかかるお金が増えていくのは共通認識といえるでしょう。
若いうちに、公的な介護保険や健康保険制度を理解しつつ、「自助努力で老後までにどのくらいの資金を準備できそうか」きちんと見積もることがより重要になってきています。

団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年までに、介護費や医療費の増加を抑えるための施策が打ち出されていますが、事業者が受け取る報酬改定は私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。

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